Riese


笑顔




「俺、菅原孝支宜しく」
肌寒さが残る二年前の4月。
そう言って、ニカッと笑って差し出された手が温かくて、コイツなんだか子供みたいだと感じたことを覚えてる。

気持ち良さそうだな。
枕に顔を埋め寝息を立てている様子に、口元が弛んだ。
笑っている時が一番だと思うけれど、寝ている時のあどけない顔もかわいいなと感じてしまう自分は相当この恋にはまっていると思う。
スガに出会ってもう二年。
出会ったあの日からこいつはどんな時でも笑っていて、俺はいつでもその笑顔に励まされている。
スガのなきぼくろ、無駄にエロいよな。
顔にかかった、見た目よりもずっと細い髪をスッと指先ではらってやると、次の瞬間「んんっ」と身じろぎされ、
やべ、起こした?
慌ててすっとその手を離した。
けれど少しして、また寝息を立て始めた様子を確認すると、「良かった」ホッと胸をなで下ろした。
うつぶせになり、腕の上に顔を乗せ寝顔を眺める。
まったりとしながら、ふいに昨日練習中に言われたことを思い出した。
「大地」
「んっ」
「これからの試合、勝ち進んでいくためには、烏野の正セッターには影山を選ぶべきだと思う」
「えっ」
あまりにも唐突に言われ、ぎょっとしてスガを見ると、スガはいつになく真剣な顔で俺を見つめていた。
「俺たち三年には来年が無いし、正直俺も大地や旭と一緒に同じコートに立ちたい。でも、少しでも一緒にプレーするためにも、
実力のある影山を試合に使うべきだと思うんだ」
「おい」
なにを行き成り言いだすんだと言いかける前に、「大地にも旭にもちゃんと俺の気持ち言っておこうと思ってさ」と続けられる。
「影山が入部してくるまでこんな気持ち感じたことも無かったけど、悔しいけどやっぱり実力がある方が試合に出るのは自然なことだ」
「・・・・・・」
「影山がセッターとして入って、日向とあの速攻で決めたり旭と連携プレーがもっと形になってくれば全国も夢じゃないよ。そのために
俺がチームの為にできることって何かなって考えた時、もし俺と影山とでどちらを正セッターとして使うか迷ってしまうなら、迷わず実力の
ある影山を使ってくれと俺の口から言うべきなんじゃないかってさ」
「スガ・・・・・・」
「そんな顔すんなよ」
練習中にそんな情けない顔すんなと困った顔をして、スガが笑う。
その顔がいつになくスッキリとしていて、だってお前がそんなこと急に言うからと、瞬間鼻の奥がツンとなった。
ここが体育館でなかったら、ギュッと抱きしめたかったくらいだ。
「でも、だからって俺は公式戦にレギュラーとして出ることを諦めたわけじゃないから。俺だって試合に出たいし。
んで、お前や旭にトス上げて、一緒に点取りたい。ポジション違うけど、お前だってライバルだ」
「可愛い顔して、かっこいいこと言いやがって」
これまで一緒にやってきたことを考えたりると、胸の中に複雑な気持ちが広がったけれど、
でもそれがこいつがチームを思う気持ちだと思うと、分かったよとしか言ってやれなかった。
天賦の才を持つ影山を目の当たりにして、やるせない、苦しい気持ちを抱えていたはずなのに。
「一言もなんも言わないんだもんな」
心の中のいろんな葛藤とかもっと話してくれたらいいのに。
けれど弱音を漏らさず、凛としている姿に惹かれたのだ。
公式戦で相手チームと点差を引き離されても「こっからだ、頑張ろう」とチームを影から支えてきてくれたのは、いつもスガだった。
勝ち進みたいし、全国にも行きたいけれど。
「でも、俺はお前のトスで打って点を取りたいよ」
そうして、コートの中で一つでも多く喜びを共にしたい。
「俺も頑張るよ」
そうして俺はスガの額にキスをすると、眠っている身体を抱きしめてもう一度眠りについた。
「しゃしゃらくらくに」のニゲラ様がこのお話に合わせてイラストを描いて下さいました!!
もう感謝感激です。せっかくなので、イラストと話を合体させて頂きました。
私の駄文が、素敵に・・・・・・・
ニゲラ様、ありがとうございました。
ニゲラ様のステキサイトはこちらです。